既知中継信号除去によるアドホック無線ネットワークの同一周波数利用に 関する研究

中島竜也 (0151074)


アドホック無線ネットワークは、送信、受信、中継の機能を有するノードに よって構築された無線ネットワークである。隣接するノード間で通信を行い、 2 つのノード間で直接的に通信できない状況では、それらの間に存在する ノードを中継ノードとして利用することで通信を可能とする。この機能により 非常に柔軟性が高い無線ネットワークを基地局などを配置することなく構築す ることができる。しかし、中継に電波リソースを使用するためスループットの 低下が問題となる。

この問題を解決するため、本研究では、中継ノードからの干渉信号が情報源ノー ドにとって既知であることを用いて、同一周波数干渉除去を行う既知中継信号 干渉除去方式を提案した。提案方式は、隣接するノード間で同時に同一周波数 を用いて複数の信号の伝送を行うことでスループットの向上を可能にする。提 案方式の有効性を示すため、計算機シミュレーションを行いビット誤り率特性 を評価した。その結果、既知中継信号除去方式は高精度の干渉除去が可能であ り、スループットを最大1.5倍向上できることが分かった。