ストリーミング配信サーバにおける管理支援に関する研究

寺田 直美 (0151067)


高速回線によりインターネットへ常時接続が行える環境が急激に広まってきている. こういった環境の広まりに伴い,音声や動画像のストリーミング配信サービス利用 も増加してきている. また,エンドユーザが高速回線を利用できるようになったことから,有償コンテンツ も増加している. これらのサービスを行うサーバは,無償コンテンツと比較してより安定したサービス 提供を行うことが求められる.

一方,配信時にアクセスが集中するライブ型配信の場合はアクセスパターンが バースト的になることが知られている. このため,配信時にサーバおよびネットワークが高負荷になり,最悪の場合 配信不能に陥る場合も出てきている. このような事態を避け,安定したサービス提供のためには管理者が サーバ,ネットワーク状態およびクライアントへの配信状態を知ることが重要になる. しかし,配信サーバ内で監視システムを動作させることにより配信サーバ負荷を 上昇させる可能性がある.

配信サーバへのアクセス集中といった問題は,従来からWebサーバが 抱えてきた問題でもあり,Webトラフィックの監視,分析に関しては 多くの研究がなされてきた. ストリーミングをはじめとするマルチメディアトラフィックは, Webトラフィックとさまざまな点で特性が異なるため,そのまま適用することは 困難である.

多くのストリーミング配信アプリケーションはクライアントにテストパケットを 送り,クライアント毎に最適なビットレートで行う. 配信ビットレートが可変であることが,配信ストリーム数からクライアントへの 配信状態を予想することを困難にしている.

以上の問題点を踏まえて,本研究では配信サーバ外部に観測用計算機を 設置することで,配信サーバに負荷を加えることなく監視を行う方式を 提案する. 観測用計算機でパケットを捕捉し,クライアントへの配信状態悪化時に 現れる特徴分析を行う. 実験では,配信ストリーム数と帯域幅を複数設定することにより, クライアントへの配信状態をエミュレートし,パケットトレースを行った. 本研究で得られた知見から,ストリーミング配信サーバの管理システムへの フィードバックについて考察を行う.