リモートデバイス利用に関する汎用的なフレームワークの提案と実装
佐藤 純次 (0151049)
様々なバス・インターフェイスに対応した多くの周辺機器が登場してきている.
周辺機器は通常デバイスドライバにて制御される.しかし,オペレーティング
システム内にはネットワークを介した周辺機器の利用を提供する機能を備えて
いない.
NFSやRFS,そしてiSCSIなどカーネルレベルにて周辺機器の透過的利用を実
現する技術は多数存在する.しかしいずれも,特定の周辺機器の利用であった
り,専用のAPIを利用するなど制限が存在する.そこで,カーネルレベルで
ネットワークを介した周辺機器の利用を実現する汎用的なフレームワークを
提案する.
本提案は,既存のオペレーティングシステム環境と親和性を持つ構成であ
る.すなわち,システムコール・インターフェイスからデバイスドライバ
を呼び出す過程においてネットワークを抽象化するレイヤを設け,既存ア
プリケーションの改変や再コンパイルの必要がなく利用可能である.また,
周辺機器を操作するデバイスドライバ関数をIPデータグラム内にカプセル
化しネットワーク上で送受信するため,ネットワーク的に位置透過な利用
が可能である.
本論文では,提案するフレームワークと既存技術の機能を比較評価した.
また,抽象化レイヤを経由した際のオーバーヘッドをもとにスループット
を計測した.その結果,約318Mビット/秒のスループットであることがわ
かった.