A Game Theoretical Approach to Internet Pricing under Two ISPs Competition

櫻井 弘明 (0151047)


近年,インターネットの利用が拡大し様々なオンラインサービスが展開されおり, 多くのインターネットサービスプロバイダー (ISP) がインターネット 接続サービスを展開している.インターネットの普及に伴い,インターネット サービス市場に関して工学,経済学の両分野で活発な研究が行われてきた. 過去にGibbensらはゲーム理論を用いてISPの競争市場をモデル化し, 複数サービスクラス導入の是非を検証したが,そこでは様々な制約があった. Gibbensのモデルでは, ISPが操作できるのは価格のみだったが,実際には回線容量も変更することが 可能である. そこで本研究では,価格に応じて回線容量を変更できるようモデルを拡張した. 価格とリソースの関係を導入したモデルでは,価格に対してリソース の増加率が多いほど輻輳の影響が減少し,価格競争が激化して低価格化の発生 および,それに伴う利益減少が生じることが判明した. 次にGibbensのモデルでは,ユーザが必ずISPと契約 しなければならないという制約があった. そこで本研究ではGibbensのモデルを拡張し, ユーザがISPのサービスに満足できない場合はユーザがどちらのISPにも 加入しないことを可能にした. 均衡解析およびシミュレーションの結果,opt-outを選択するユーザの存在は, 市場のユーザ数,ISPのリソース,ユーザがインターネット利用により得る利益 に依存することが判明した.