近年、インターネット技術の発達によりIPネットワークを利用した電話通信サービスであるIP電話通信システムを高品質かつ低価格で現実可能になった。このIP電話通信システムは2,3年以内に爆発的に普及すると予想されている。しかし、VoIPによる通信が普及すると同時にセールス電話やいたずら電話などの迷惑電話が増加が予想される。 現在、公衆電話交換網の交換機や電話機端末の機能としていつくか迷惑電話を防ぐ手段が提供されている。しかし、そのほとんどの手段が根本的に問題を解決するものではなく、有効性の低いものである。例えば、一部の固定電話や携帯電話についている着信許可機能では、あらかじめ自分の着信許可リストを作成し、着信を許可したい人のみを登録する。着信許可リストに登録されていない人からの電話は着信しないので、自分の知らない第三者による迷惑電話を防止することができる。しかし、現実の世界では自分の着信許可リストに登録されていない人からの着信が必要な場合が多々存在する。例えば、自分の着信許可リストに登録されていない、家電の修理を依頼した電気店の電話や宅配のドライバーからの電話、自分の電話番号を友人がさらに別の友人に教えた場合の電話などである。 自分の知らない第三者からの電話の内、このような自分に着信が必要な呼のみを自動的に着信させ、かつ、セールス電話やいたずら電話などの迷惑電話を着信しないように防御する手段が必要だと考える。 そこで、本研究ではこの問題を解決するために、ディレクトリサーバを用いて自分の知らない第三者からの電話を着信しないようにIP電話通信ネットワークの一部を変更し、友人の親密さの度合いを用いることで、自分に必要な呼を自動的に判断させ、電話を着信させるシステムを提案する。 また、本研究では提案システムを実装し、親密度を用いた場合において、有効性を示すためにユーザに着信する呼の割合を検証し、実用性を示すために提案システムの計算処理能力を検証する。