ピーク電力制限条件における拡散符号選択がマルチキャリアCDMA方式の伝送特性に与える影響に関する研究

儀間 哲仁 (0151039)


マルチキャリアCDMA(Code Division Multiple Access)方式は,移動体通信において 問題となるマルチパスによる伝搬路の周波数選択性に対する耐性を有しており,第4 世代携帯電話の伝送方式への適用が積極的に検討されている通信方式である. マルチキャリアCDMA方式は信号のピーク対平均電力比(Peak-to-Average Power Ratio: PAPR)がシングルキャリア変調方式に比べて大きくなるため,増幅器の 線形領域のみを使用する場合,広い線形領域を持つ増幅器が必要となる. 広い線形領域を持つ増幅器は消費電力が大きく,多量の熱を発生するため携帯電話 など小さい機器への適用が困難となることが問題である

この問題を解決するためピーク対平均電力比の小さい拡散符号の検討が行われており, 白色雑音(Additive White Gaussian Noise: AWGN)のみの環境における拡散符号 ごとのピーク対平均電力比特性およびビット誤り率特性が明らかにされている. しかし実際の 移動体通信環境はマルチパスフェージング伝播路であり,AWGN環境での解析は 評価として十分ではない.

そこで本発表では,マルチキャリアCDMA方式における拡散符号ごとのピーク対平均 電力比特性およびマルチパスフェージング環境におけるビット誤り率特性を評価した 結果を報告する. 本発表で,2値符号として代表的な拡散符号に対する特性の解析を行った結果を述べ, マルチパスフェージング環境におけるマルチキャリアCDMA方式の拡散符号として Shift-M系列が適していることを明らかにする.