研究概要
本研究では論理関数の畳み込み機構を導入した新しい省面積 FPGA の構造とその実現手法を提案する.論理関数の畳み込みとは,実現したい真理値表の部分間の関係に着目し,真理値表の一部のみを LUT に格納し,付加的な論理ゲートを用いて真理値表全体を構成する手法である.本研究で提案する 3-1 LUT では,全加算器の実現に必要となるメモリ量を 16 ビットから 8 ビットに減らすことができる.畳み込み手法を導入した LUT を FPGA の基本構造に用いることで,省面積とされている 4-1 LUT を基本構造とした FPGA よりも省面積な FPGA を実現する.FPGA の配線構造としては,広く用いられている island スタイルに基づいている.
LSI実装の評価
提案する FPGA を VDEC ROHM 0.35$\mu m$ EXD ライブラリ上で 実現した.FPGA 全体での LUT の集積度はAltera 型 4-1 LUT を用いた FPGA に対して約1.5倍である.遅延については LUT 単体の入出力遅延は約 78 \%,また Carry の伝搬は 4-1 LUT とほぼ同等で実現できた.また,ベンチマーク回路をマッピングしたときに消費する面積を Altera 型 4-1 LUT と比較すると,最大で約 33 \%,平均でも 約12 \% の面積削減が期待できる.特に算術演算回路を多く含む回路に対して有効である.
発表概要
発表では論理関数の畳み込み手法について説明し,畳み込み手法を導入した FPGA の設計について述べる.FPGA の集積度と遅延についての評価を示す.さらに,回路をマッピングしたときに消費するマッピング面積を 従来の 4-1 LUT を用いた FPGA と比較することで,提案する FPGA の有効性を示す.