音響尤度を基準とした英語発音正誤判別法における学習者母語音声による話者適応法の検討

大野 康法 (0151022)


近年,語学教育の分野において,計算機支援型語学学習(CALL)システムに注目が集まり,様々な研究が行われている.中でも発音の学習は,コミュニケーションをおこなう上で通用する英語を学ぶ為にも学習の重要度は大きい.しかし既存の発音評価システムでは,単語発声や限られた少数の文章のみの評価しかできないといった制限がある.

そこで,本研究では多様な文章発声に対して発音の正誤判別をおこなうための判別基準について検討する.音声認識エンジンの自動ラベリングにおいて算出される音響尤 度に対し閾値を設定することで発音正誤判別をおこなう手法を提案し,正誤判別の 判別精度を調べた.また,音響尤度算出に影響を与えると思われる話者 性を除去するため,話者適応音響モデルを用いる.提案手法として学習者の母語音 声を用いた英語音響モデル適応を提案する.

評価実験の結果,音響尤度が発音正誤判別の基準となり得ることを示 した.不特定話者モデルにおいて,発音正誤判別の最小判別誤り率$43.2\%$を得た.また,提案 した話者適応モデルを用いたことで,不特定話者モデルと比較して,最小判別誤 り率を$36.1\%$へ減少させ,提案適応法の有効性を示した.