IRR データベースの一貫性向上手法の提案と実装

衞藤 将史 (0151018)


自律システム (AS) 間の経路制御運用の支援技術として Internet Routing Registry (IRR),及びRouting Policy Specification Language (RPSL) を用いたシステムが提案されたが,あまり利用されていない.その大きな理由は IRR データベースの情報に不整合が存在しているからである.現状の IRR データベースから自動生成したルータ設定情報をそのままルータに適用した場合,隣接 AS 間の接続性が失われ,また管理者の意図しない経路選択が行われる場合がある. このようなIRRデータベースの情報の不整合は,IRR の普及を阻む一因となっている.

この問題に対して,本論文では IRR データベースの一貫性の向上を実現するシステムを提案する.すなわち AS の管理者が登録するポリシが隣接 AS のポリシとの間で整合性がとれているかを検査する Policy Check Server という機構を提案する.これにより,IRR には他 AS のポリシとの整合性がとれた情報が蓄積されることになり,結果として IRR サーバの一貫性を向上させることができる.また一方で,現在運用されている IRR データベースにどの程度の不整合が存在するのかを検証し,ポリシの整合性検査の必要性を確認する.