構造モデルを用いたオパールの遊色現象の再現

安部 高明 (0151003)


自然界はいろいろな色に満ち溢れており,それらは大きく色素色と構造色に分けることが出来る.構造色とは,可視領域の光の波長あるいはそれ以下の微細構造を持つことで起こる光学現象によって発色する色のことである.本研究では,構造色であるオパールの遊色現象に注目し,この遊色現象の可視化手法を提案する.

オパールの遊色現象の原因となるのは,局所的な回折現象と大域的な粒子の不規則な配置である.スケールの異なる二つの要素を考慮するために,本研究では可視化のためのオパールモデルとして,回折現象をシミュレーションするある程度の数の粒子の集合(クラスタ)を考え,そのクラスタを不規則に配置するモデルを用いる.このモデルでは,粒子のクラスタを指数則を用いてランダムに配置し,クラスタの向きをそれぞれ変化させることで粒子配列の不規則性を表現する.またレンダリングでは,波長毎にレイトレーシングを行うことで,波長依存性の高い回折現象を正確に表現する.

実験では,提案したモデリング手法とレンダリング手法を用いて,オパールの遊色現象の再現を行った.その結果,光源位置を変更することにより異なる色が見える画像が作成できた.これは遊色現象と同様の見え方であり,本提案手法の有効性が確かめられた.