リンクステート型経路制御方式における経路計算頻度を考慮した収束時間短縮機構の提案と評価

吉川 順也(0051119)


インターネットは急速な速度で発展を続け,社会における重要な通信インフラとなっている. このような現状において,インターネットにおける確実な接続性の提供と迅速な障害復旧が強く求められている. インターネットにおける障害復旧は経路制御機構による経路の再計算によって提供される.

新たな経路が計算され,経路表が更新される事を経路の収束と呼ぶ. 現在のインターネットにおいては経路の収束には数十秒から数分といった時間を要する. 数十秒から数分といった時間は時間は余りに長すぎる. 従って経路収束時間を短縮する事が強く求められている.

本研究ではインターネット上での経路制御機構における経路収束を高速にすることを目的とし, 中でも現在広く普及しているリンクステート型経路制御方式に着目する.

経路制御機構においては経路計算が必要となってから経路の計算が行われるまでに, 一定の法則に従った遅延時間が挿入される.この遅延時間は経路計算頻度を抑制するために存在し, この遅延時間を挿入する現在の方式を本研究では遅延SPF計算方式と呼ぶ.

本研究では遅延SPF計算方式の問題点を明らかにし,より少ない遅延時間においても経路計算頻度の抑制を可能とする方式を, 選択的遅延SPF計算方式として提案する.遅延SPF計算方式により経路計算前の遅延時間の短縮が可能である, その結果経路の収束時間が短縮する