ゲインスケジューリングを用いたマスタスレーブシステムの制御系設計

山村 和人 (0051115)


マスタ・スレーブシステムとは,人間がマスタアームを操作することで 作業環境に配置したスレーブシステムにその動作指令を伝え,さらに スレーブと環境との干渉力がマスタを介して操作者に伝えられるシステムをいう.

マスタ・スレーブシステムを用いた遠隔 操作をする場合,マスタシステム,スレーブシステムそれぞれの通信の時間遅れによる システムの不安定性がシステムを設計する上で最大の問題の一つとされている. 今後,より複雑な作業を確実に実行するためには制御性能に対して厳しい要 求が課せられ,よりアドバンストな制御を行う必要がある.そこで最近注目されたのが H∞制御理論及びゲインスケジューリングである.これら制御法は バイラテラル制御系解析・設計ツ−ルとして非常に有効である.

本研究ではマスタ・スレーブシステムの スレーブシステムの周りに障害物がある場合(Free Motion)と障害物がない 場合(Constrained Motion)の2つの異なる動きに分けて, それぞれの制御系設計について検討する. とくにConstrained Motionでは時間遅れのない場合と時間遅れの ある場合に分け,それぞれ H∞制御理論,及びゲインスケジューリングをLMIを用いて設計する方法を提案する.