独立成分分析によるシステム同定と外乱分離

宮浦恭弘(0051106)


 近年,独立成分分析(ICA)という手法が注目されている.これは線形 に混合された信号から統計的独立性のみを用いて,学習によって信号を分離し,結合 係数を推定することができる.

 制御系においても,混入してくる外乱を分離する事が必要な場合が多くある.また,外乱 とシステムのパラメータが共に不明であるような困難な問題が考えられる.そこ で,本論文では制御系のシステム同定と外乱信号の分離にICAを用いる事を試みる.制御系 の解析では信号がダイナミクスを持っていることや,ICAの分離結果には順序やスケ ーリングの不定性がのこるために,従来のICAアルゴリズムをそのまま適用するには不十分 である.そこで,システムの入出力関係を線形モデルに展開し係数行列を工夫する事により, 制御系の入出力信号から外乱の分離とシステムパラメータの推定を行うためのICAアルゴリ ズムを提案する.提案する手法の有効性はシミュレーションによって検証される.