仮想音源再生を利用した音声対話システム用インタフェースに関する研究
三野 浩一 (0051105)
本論文では,仮想音源再生の技術を利用した音声対話システム
用インタフェースを提案する.従来の音響エコーキャンセラを用いた音声対話システ
ムにおいては,特に様々な外乱によって室内伝達関数が変動した際に,
その伝達関数を推定・更新することが不可欠である.
しかし,この伝達関数の推定処理は,
ユーザが自由にかつシステムからの応答と同時に発話することを妨げる.
この問題を解決するために,仮想音源を再現する
マルチスピーカシステムを新たに導入する.
本手法においては,マイクロホンの位置において,ユーザに呈示している
システムからの応答音声は消去されるが,ユーザの発話音声は適切に集音される.
音声強調及び音声認識実験の結果,提案する対話システムは従来の
音響エコーキャンセラを用いたシステムよりも伝達系の変動に対して
頑健であり,割り込み音消去量に関して12dB,
単語認識精度に関して大幅な改善が確認された.