ユーザ要求に基づく放送を利用したデータ配信

早藤 英之 (0051085)


近年,衛星データ放送,地上波デジタル放送,モバイル端末(携帯電話)への プッシュ型情報配信サービスなどの放送型データサービスが提供されるようになりつつある.

また,従来の有線プル型の情報配信サービスにおいてもADSL,FTTH等の ブロードバンド化によりユーザの利用形態が変化しつつあり, これら双方を併用するデータ通信システムが登場しつつある.

このような環境においてはサーバは データを配信する際の配信手法を放送と通信のいずれかから選択することになり, どのメディアを用いてデータを送るかでシステムの応答が変化する.

しかし現在提案されている放送型データ配信におけるスケジューリング方式は Web閲覧を基準としたアクセス分布,データサイズ分布に基づいたものが大半であり 動画などを想定したデータを加えた リクエスト分布,データサイズ分布に対するスケジューリングを行うものにはなっていない.

そこで本研究ではそのような動画なども想定したデータ分布, ユーザリクエスト状況 を仮定し,各状況に対する放送スケジュールを作成し放送と通信による データ配信を行った時のユーザの待ち時間,全体の帯域使用量の変化,放送効率等の システム応答の変化をシミュレーションで評価する.

スケジューリングを行う際に動画等のデータの利用方法を考慮した 期限時刻というパラメータをリクエストに加え,期限時刻を考慮した放送スケジューリングを行った.

その結果,クライアント数が大きいときやリクエストが偏る際の サーバの負荷が放送を利用することで減少することが確認された.