建築設計における口語的条件記述から室配置を得る方法

西畑 阿紀 (0051077)


建築設計においてクライアントの希望をうまく聞き出し、それをもとに具体的な 平面プランを提示することは最も重要な作業の1つである。しかし設計を依頼す る際、建築知識の少ないクライアントが、自分の希望を言葉によって設計者に伝え ることは難しい。それと同時に、建築家がクライアントから聞き出した、設計に 関する希望や、条件を理解し、それを満たす室配置を提案することは容易ではな く、建築家の経験や資質に依存する。 そのため設計工程の初期段階におけるデザイン支援システムが必要とされてい る。

そこで本研究では、平屋建て住宅の室配置を得る方法を提案する。 その入力方法は、できるだけ口語に近い表現の選択肢を用い、クライアントの希 望をより多く引き出すことができるようにし工夫した。 配置方法はそれぞれの室がうまく配置されるように、評価値を用いて戦略的なも のを提案した。室の配置場所を決定すること、配置を評価することを目的として、 建築の設計基準に基づき、室同士の距離、関係、関係の交差、室の方角から評価 値を設定した。

この提案手法を実装したシステムを用いて2つの実験を行った。被験者10人に対 しシステムを使用した結果を調査する、インタフェースに関する主観的評価実験 と、いくつかの室配置を行い、その評価値を用いた定量的評価実験である。これにより、望ましいインタフェースの方向性を検討すると共に、本研究で提案する方法の妥当性について検証を行った。その結果、提案手法における室配置はクライアントの希望を正確に反映し、また、建築設計においても有用であるという結果を得た。 これと同時に、様々な改良点も明らかにすることができた。 本発表では、システムの内容と実験の結果について述る。