分散基地局システムにおける基地局間ディジタル伝送による同一周波数干渉除去に関する研究

中本 義人 (0051073)


現在,周波数利用効率が高い高能率移動通信システムの一つとして分散基地局システムが提案されている.しかし,従来から提案されている分散基地局システムでは干渉除去を行うために,各基地局で受信した受信信号をRF(Radio Frequency)信号の形態で制御局に伝送する必要があり,そのため各基地局・制御局間に新しくROF(Radio-on-Fiber)リンクを敷設しなくてはならず,システム構築にかかるコストが増加するという問題がある.

そこで本研究では,分散基地局システムにおける基地局間ディジタル伝送による同一周波数干渉除去方式を提案する.提案方式は復調に成功した基地局の復調後のディジタル信号を隣接した基地局に送り,隣接基地局において,シリアル方干渉除去を行なうものである.提案方式では干渉除去にRF信号を用いず,復調後ディジタル信号を用いるため,干渉除去に必要な信号を伝送するバックボーンネットワークの伝送帯域は,復調後信号つまり,端末が送信する情報の伝送速度そのものに抑えることができる.そのため,ROFリンクは不要であり100Mbps程度の構内LAN等の既存のネットワークで簡略化した構成の分散基地局システムを実現可能となる.

本発表では,計算機シミュレーションにより提案方式の特性解析を行い,提案方式が同一周波数干渉を除去できることを示す.