サッカー映像の自動ゲーム分析方法の提案と評価

中川 靖士 (0051071)


地上波テレビ、衛星放送、ケーブルテレビに加え、新たなチャンネルと してインターネット放送による映像発信が行われ、映像が増加している。 映像の視聴時間には限界があるため、大量の映像を効率良く検索できる ことが重要である。そのために、構造化されたデータに関するデータと してメタデータが必要となる。

メタデータは、ハイライトシーンだけを検索した ダイジェスト番組、 長い映像を短く見せる映像要約、カット点検出によるノンリニア編集、 ニュース映像とCMを分離する映像分割、見たい映像を取り出す番組表に 利用される。

映像のメタデータ作成するために映像の内容を理解し構造化する必 要がある。しかし、画像解析を用いた方法は映像の内容を理解すること ができないので、手作業に頼る方法が取られている。今 後、増えつづける映像に限られた予算や人手で対応しきれない。

そこで、本研究の対象をサッカー映像に限定して、サッカー映像から その内容を取り出す知識を最も持っているは サッカー解説者なので、サッカー映像の自動ゲーム分析方法として、 画像解析にサッカー解説者の知識を加えたシステムを提案した。

提案手法は、プレーの認識、スコアブックの作成、チーム 戦略の分析で構成される。プレー認識を行うために 画像解析とサッカー解説者の知識を用いて、選手認識、ボール認識、ライン認識、視点移動、 カメラワーク認識を行った 。スコアブックは時間、場所、チーム、プレーを 数値化したデータで管理する。ボールキープ時間やボール移動軌跡から チーム戦略の分析を行った。 プレー認識の画像解析は、2値化、円形度、ハフ変換、アフィン変換、 オプティカルフローを用いた。

本研究の結論として、認識率の向上、処理時間の高速化、1フレーム目 に対するパラメータの自動計算を行う必要があるが、サッカー映像の 自動ゲーム分析方法として、 画像解析にサッカー解説者の知識を加えたシステムが有効である。

画像解析だけの場合は選手とボールを追跡して位置を認識するだけあったが、 画像解析にサッカー解説者の知識を加えた場合は選手とボールの位置に加えて プレーを認識することが可能になった。 提案手法は場所とプレーを認識できるので、グランド俯瞰図に画像変換するだけでなく、 手作業で行われていたプレー解説やチーム戦略の分析を行うことができる。 さらに、シュートチャンスを把握することにより、ダイジェスト番組や番組表に役立つ データを抽出可能である。これはメタデータ作成のため映像内容を理解し構造化する一例を 示すことができたと言える。