動力学演算パッケージを用いた歩行ロボットシミュレーションとその応用
豊田 篤史 (0051069)
歩行ロボットの製作にあたって必要とされるのはハードウェアと制御ソフトウェ
アの開発である.多くの場合は実機動作を行う前に誤動作による危険を防ぐた
め,シミュレーションによる安全かつ効率的なソフトウェアの検証を行う.従来
のシミュレーションにおいては歩行を二次元空間上で簡略化を行うことが多い.
しかし三次元の現実世界での歩行ロボットとの誤差が大きくなってしまう.また,
精密な三次元シミュレーションを行った場合では,その計算に時間がかかりすぎ
てしまって開発効率に悪影響を与えてしまう.
そこで三次元空間において数値的に安定し,高速性を備えた動力学計算環境が歩
行シミュレーションで必要となる.
本研究ではゲーム用高速動力学演算パッケージであるMathEngineを歩行シミュレー
ションに用いることを提案する.構築したシミュレーション環境を歩行ロボット
に適用し,多くのロボットにおいて歩行の基本となるアルゴリズムの検証や転倒
安定性の確認を行う.そしてシミュレーション上で用いた歩行コントローラを
四脚歩行ロボット TITAN-VIIIに実装し,歩行実験を行うことで実機のソフト
ウェアへの適用の可能性を示した.