MPLSにおける網からのフィードバックを用いた最低帯域保証機構の提案と評価

寺本拓生(0051067)


複数拠点を持つ企業などで利用される事業ネットワークには,通信品質の確保 が必要である.このため,帯域や遅延が保証される専用線によるネットワーク 構築が一般的である.しかし,専用線には高コストと低い拡張性という二つの 問題がある.この二つの問題を解決する手法として,インターネット上の最低 帯域保証機構がある.この機構では,契約フローはネットワークの輻輳発生時 においても契約分の帯域が保証される.また,ネットワーク容量に空きがある 時は,余りの帯域を利用できる.保証帯域を越えた帯域を全てのユーザで共有 するため,提供コストを安価にできる.

最低帯域保証機構を実現する技術としてRIO(RED with In / Out)がある.RIO は,輻輳の起きているリンクにおいて契約外のパケットを優先的に破棄するこ とで最低帯域保証を実現する.しかし,RIOにはパケット廃棄に関するパラメー タが6種類あり,ネットワークの状況に合わせたこれらのパラメータ設定が大変困 難となる\cite{may99reasons}.また,RTTの違いによる公平性と効率の良いネットワーク利用の両 立が難しい.

本研究は,これらの二つの問題を解決するために,網内に定期的な制御パケッ ト伝送し,輻輳の情報を素早く伝達する手法を提案する.この提案においては, 事業ネットワークなどを提供するバックボーンネットワーク技術として,現在 有望視されているMPLS(MultiProtocol Label Switching)を利用する.本方式 により,各MPLSパスに割り当てた重み値に基づいた最低帯域保証の実現性,及 びMPLSパス間の公平性の改善をシミュレーションにより示す.