Gene Ontology グラフィカルブラウズシステムの設計と開発

田上 純子 (0051060)


遺伝子産物の注釈付け(アノテーション)のための統制語彙である Gene Ontology(GO) は,ゲノム研究者による情報共有のための努力の産物であり, モデル生物の体系的な遺伝子注釈のための語彙として既に事実上の標準となっ ている.

本研究では,ゲノム研究における GO の位置づけや,データ構造,意味的な構 造の特徴について調査を行ない,GO によって様々なデータを統合利用する際 に考慮すべき点を検討した.そして特に,GO 用語の定義が上位用語からの継 承に強く依存し,その継承関係が複雑であることから,利用者に対する GO 用 語の理解支援が必要である点に着目した.

そこで GO による注釈データの利用者が注釈用語の意味を的確に理解すること を支援するため,GO 用語の継承関係を視覚的に表現するシステムを構築した. 設計に際しては GO の規則や利用のされ方を踏まえ,実用的な表示範囲や機能 を検討した.また本システムでは,用語の継承関係を表現したダイアグラムを Scalable Vector Graphics(SVG) によって記述し,インタラクティブなユーザ・ インターフェースを実現した.このシステムにより,利用者は各 GO 用語の意 味を理解しやすくなり,GO を用いた遺伝子アノテーションやデータベース検 索を円滑に行なえるようになることが期待できる.