情報全入環境における効率的な情報更新手法

高野 正樹 (0051051)


計算機の普及とネットワーク環境の整備によって,商品の広告などの膨大な情 報が電子的に提供されるようになっており,今後は配信される全ての情報を利 用者が受動的に受信する情報全入環境が生まれると考えられる.また,近年あ らゆる情報の交換フォーマットとして XML が用いられており,上記のような 情報配信に XML が利用されると予想される.しかし,配信される情報量の増 大に対し,一計算機の記憶装置の容量には制限があり,配信される全ての情報 を蓄積することは困難である.また,配信される情報の中には利用者が必要と しない情報も多く含まれているため,すでに蓄積されている情報の中から利用 者が必要とする情報を効率的に取り出す必要がある.本研究ではXML データを 情報の意味的なまとまりを表現する部分文書に分割した上で,利用者が必要と する部分文書だけを利用者が使用する計算機上に蓄積する.そして,残りの部 分文書は大容量の記憶装置を持った別の計算機に退避させ,利用者が使用する 計算機上に利用者が必要としている情報だけが存在する状態を保持する.取得 した XML データの中から利用者が必要とする部分文書を特定するためには, 利用者の部分文書への参照履歴を用いる方法が考えられるが,情報全入環境で 配信されている XML データの中には,利用者の参照履歴に存在しない未知の 情報が多く含まれる可能性があり,参照履歴に依存した方法だけでは未知の情 報が利用者にとって必要なものかを判断することが困難である.そこで,本研 究では,利用者が頻繁に参照している情報は利用者自身が必要としている情報 であり,また新鮮な情報ほど利用者に提供する価値がある情報であると考え, これらの尺度を統合した結果を用いた情報全入環境における効率的な情報更新 手法を提案する.