fMRI内で使用可能な光学式2軸力センサの開発

佐々木 晋介 (0051042)


近年,脳機能を探究するための手段として,fMRI を用いた心理物理実験が幅広
く行われている.そして,fMRIで脳の活動と人間が発生する力を同時に計測する
ことは,運動機能解析において必要不可欠である.しかし fMRI は強磁場である
ため,一般的な歪みゲージ式力センサを使用することはできない.また,現状で
も fMRI 実験室内で利用可能な力センサが開発されているものの,精度や自由度
の面での制限が多い.そこで本研究では,発光/受光素子と光ファイバを利用し,
センシング部分に金属や電子素子を配置しない光学式 2 軸力センサを開発する.

開発した力センサ本体は平行平板構造を有しており,センシング部に加わる力
は各軸方向の微小な変位に変換される.また,微小変位が生じる部材の先端に
は疑似点光源が設置されている.そして,4 分割受光素子を光源と対向するよ
うにセンサフレームに固定し,各軸方向素子の受光量の差分を計算すれば,微
小変位を高精度に計測することができる.ここで,開発した力センサは,セン
サ本体がアクリルで構成され,疑似点光源として末端に LED を固定した光ファ
イバを,受光素子として末端にフォトダイオードを固定した光ファイバを使用
しているため,センシング部からは金属や電子素子を完全に排することができ
る.

開発した力センサの計測精度は,従来の歪みゲージ式多軸力センサと比べ若干
低いものの,多軸化が容易に行える,計測レンジが幅広く設定できるという 2
点において,従来開発されたセンサにはない優れた特徴を備えている.このため,
fMRI 内で行われる様々なタスクに利用することができ,脳機能を探究する上で
重要なツールとなることが期待される.