無人ヘリコプタの没入型遠隔操縦システム

小枝正直 (0051036)


無人ヘリコプタの用途は拡大しており,航空写真の撮影や農薬散布,災害地域の 偵察などに代表されるように,我々の社会において大いに活躍している. ヘリコプタの特徴として,離着陸のために滑走路の必要が無いことや空中停止が できることなどが挙げられる. しかし飛行機に比べて機体の姿勢が不安定であり,その 操縦は非常に困難であるという欠点がある. また無人ヘリコプタの操縦は,飛行中に操縦者と機体との相対位置が大きく変化 することや,操縦者と機体の距離が大きく離れた場合に目視によりその姿勢を把握 することが困難になることなどが原因で,その操縦は実機のヘリコプタの操縦よ りも難しいと言われている. そこでこれらの問題を解決するために,本研究では没入型遠隔操縦システムを提 案する. 本システムでは,機体にカメラとトランスミッタを搭載して,上空からの映像を地上 に送信する.地上で機体からの映像を受信し,操縦者はその映像を見ながら操縦 を行う. このシステムを用いることにより,飛行中においても操縦者と機体の視覚的 な相対位置が変化することはなくなるため,操縦の難易度は実機と同等になると考 えられる. また操縦者と機体の距離が離れた場合や,操縦者から機体が目視できない状態 においても,機体からの映像が受信できていれば飛行を継続できるという特長が ある. 本システムの有効性を確認するために,通常の操縦と没入状態での操縦が可能な フライトシミュレータを作成し,容易性の比較を行なった. また,本システムの実現性を実機を用いて検証した.