簡易脳波計を用いたプラントオペレータの思考状態推定

加茂 史子 (0051025)


近年、プラントの巨大化複雑化が進み、 オペレータに必要とされる知識や技能も増大してきている。 特にプラントに何か異常が起きた際、それが大きな事故につながる可能性もあり、 オペレータは非常に高い緊張状態での問題解決を強いられる。 もし、そのような状態におけるオペレータの思考状態を知ることができれば、 それに合わせた支援や対応措置を取り、 ヒューマンエラー等による事故を未然に防ぐことができる。 そこで本研究では、脳波データから人間の思考状態を推定する手法について検討した。 特に実用性を重視し、無線式簡易脳波計を利用した思考状態推定を試みた。

まず、無線式簡易脳波計での計測点にあたる2極における測定データを 元にした思考状態推定法について提案した。 通常の脳波計の計測に用いる10極での測定データに対して、 各々をもとにした思考状態推定結果を比較し、 2極測定時の場合でも、 10極測定時に比肩する思考状態の推定を行うことができることを確認した。

ついで、ある企業で実施された緊急対応訓練において、 簡易脳波計を用いてプラントオペレータの脳波データを測定し、 思考状態の推定を行なった。 その結果、脳波データからプラントオペレータの思考状態の 推移を確かめることができた。

本発表では、始めに脳波を用いた思考状態推定方法についての解説を行なう。 次に、簡易脳波計を用いて、 緊急対応訓練におけるプラントオペレータの思考状態推定を行なった 実験の結果について、詳しく紹介する。