非線形マイクロホンアレーを用いた音源方位推定に関する研究

上柳田 英和 (0051024)


実環境で音声強調や雑音にロバストな音声認識を行う前処理として, マイクロホンアレー技術がある.ここでは,音源の方位推定を行うことが非常に重要である. 筆者らは,従来よりも少ない素子数で音源方位推定を可能とする手法として, 非線形マイクロホンアレーを用いた音源方位推定を提案した. この手法はそれまでの方法では不可能だった $K$ 素子による $2(K-1)$ 音源の方位推定が可能であるが, 処理に非線形最適化処理を含むために,多素子化が困難であるといった 欠点を有していた.また,最適化がオフライン処理で行われるために, 移動する音源の音源方位推定を行うことが不可能であった. そこで本研究では,まず,非線形マイクロホンアレーを用いた音源方位推定に 空間平均法を適用する. 計算機シミュレーションと 実機による性能評価実験の結果,提案法は残響下において優れた性能を 有することが確認された. 次に,オンラインアルゴリズムに基づいた非線形マイクロホンアレーによる 音源方位推定を提案する.シミュレーション実験の結果,2 素子アレーから構成 される提案法は移動する 2 音源の方位推定が可能であることが示された.