大学における講義評価のための匿名アンケートシステムの設計と試作

岡 博文 (0051017)


近年, 多くの大学では教育内容の向上を目的として, 講義評価アンケートを行っ ている. 本研究科でもWeb上で講義評価アンケートを行っているが, アンケートの 匿名性(無記名性)のため, その回答率が極めて低い. 回答率の改善のためには, 未回答者に対し回答を行うことを催促することが有効である. そのために, 匿 名性を保ちつつ, 未回答者の追跡が可能な講義評価アンケートシステムの設計・ 実装が求められる. アンケートプロトコルは電子投票プロトコルの一種と考 えることができるが, 講義評価アンケートでは未回答者の追 跡機能など, 一般の投票では必要のない機能が要求されるため, 電子投票プロト コルをそのまま講義評価アンケートに利用することはできない. 本研究ではまず, 匿名性をもち, 未回答者の追跡が可能なアンケートプロトコル (基本プロトコ ル)を提案し, その安全性について議論した. 基本プロトコルをそのまま講義評 価アンケートに利用することも可能であるが, その場合, ユーザ(学生)の負担が 大きく, 実際利用するには不便である. そのため, 基本プロトコルに小規模な変 更を加え, 講義評価に特化することで, 安全性を失わず, 学生が利用しやす いプロトコルを提案した. また, 改良プロトコルをJavaを用いてWeb上で実装した.