行動履歴のデータマイニングを利用した位置情報サービスの高度利用に関する研究
大田智数 (0051015)
現在,無線ネットワークや計算機の小型高性能化により,PDA(Personal
Digital Assistant)や携帯電話が急速に私達の日常生活に普及し,位置情報
サービスを利用することが可能となっている.今後は,携帯機器がさらに進歩
し,GPS(Grobal Positioning System)等の各種センサを装備したコンピュー
タを衣類のように着用して,違和感なく自然に,そして簡単に利用できる環境
(以下,ウェアラブル環境)が整備されると考えられる.ウェアラブル環境で
は利用者が手軽に,利用者の現在地に関連した情報を低供するためのサービス
である位置情報サービス(LBS:Location Based Services)を利用できる.しか
し,利用者の現在地の周辺にある飲食店の情報といった地理的な範囲で情報を
絞りこんだ問合せだけでは多数の問合せ結果が返ってきてしまい,利用者の希
望する情報が見つからないことが起こりうる.利用者の行動履歴をウェアラブ
ルコンピュータが解析し,その行動パターンを利用できれば,地理的範囲によ
る情報の絞込みに加えて,さらに詳細な情報の絞込みが可能となり,利用者の
状況に応じた情報を優先的に提示することが可能となる.また,行動パターン
から利用者の次の行動を予測して,ウェアラブルコンピュータが自動的に利用
者の目的地までの交通情報等の問合せを行うことで,利用者は端末を操作する
ことなく,利用者が必要とするであろう目的地までの時刻表や渋滞情報といっ
た情報を得ることができる.
本論文では,利用者の行動パターンを発見するために,ウェアラブル環境で容
易に取得できる利用者の移動時のデータから得られる特徴に注目してデータマ
イニングを行う.このような利用者の行動パターンを用いることによって,位
置情報サービスを効率的に利用することを目的としている.そこで,GPS 等か
ら得られる位置情報をもとに,利用者が訪ねた地理オブジェクト間の相関ルー
ルを導出するための手法を提案する.具体的には,相関ルールの導出過程にお
いて,利用者の移動速度や滞在時間などによりデータの走査範囲を変更し,ウェ
アラブル環境に特化したデータマイニングを行う.そして,導出したルールの
有用性を検討するために,ウェアラブル環境を想定して本手法を適用した位置
情報サービスのプロトタイプシステムについて述べる.