多種生理指標を用いた論理的思考状態の推定

安東 雅人 (0051002)


人間が人工物を管理や操作する際、その人工物の大規模さや複雑さが原因で、 人間にかかる負担が非常に大きくなって来ている。 このような負担が事故や災害につながる恐れがあるため、人間の負担を軽くし、 安全性、信頼性のある支援システムの開発が求められている。 支援システムは、人間行動の様々な観察結果に基づいて設計されるが、 人間の心理状態を正確に測定することが可能になれば、 効果的な支援システムの構築が可能になると考えられる。 本研究では、種々の生理指標をもとに、 人間の論理的な思考状態を推定するモデルの提案と検証を行なう。

第1に、6種類の生理指標について、 思考状態の推定に対する各生理指標の有効性を検証した。 まず思考状態の基本モードを定義し、各モードに対応した生理データに、 それぞれ特徴があるかを検証した。 その結果、種々の生理指標の内、心電活動、瞬目活動、 呼吸活動の3種類の生理データに、各モードに対応した特徴がある事を確認した。

第2に、心電、瞬目、呼吸の生理活動データを用いた思考状態推定モデルの 構築方法について、単独の生理指標を用いたモデルや、 複数の生理指標を併用して用いたモデルなど計7種類のモデルを提案し、 最も有効なモデルを決定した。

最後に、実験データを用いて提案した7種類のモデルについての評価を行なった。 その結果、単独の生理指標に比べ、 複数の生理指標を併用したモデルの方が有効であるという結論を得た。

本発表では、初めに生理指標を選択する検証について示す。次に、生理指標を用いた 思考状態を推定するモデルの構築、評価について示す。