脳波を用いた思考状態のオンラインモニタリング手法の提案と実装

山川 匡史 (9951122)


人間が人工物を操作する際、その人工物の大規模さや複雑さゆえに、 人間にかかる負担が非常に大きくなっている。そのため、人間の負担を軽くし、 快適で安全な操作を実現するための支援システムの開発が求められている。 支援システムは人間行動の様々な観察結果に基づいて設計されるが、 人間の機能状態や心理状態を正確に測定することが可能になれば、さらに効果的な 支援システムの構築が可能になると考えられる。 本研究では、人間の論理的な思考状態をオンラインでモニタリングする方法の 提案、検証と実装を行なう。

第一に、脳波データを用いた思考状態のモニタリング方法の検討を行なった。 まず思考状態の基本モードを定義し、思考状態推定モデルを用いて各モードの 強さを計算する手法を提案した。 その後、実験データを用いて提案手法の有効性を確認した。

第二に、実験条件の変化等に対して、思考状態推定モデルのロバスト性の 検証と考察を行なった。その結果、思考状態推定モデルは実験日などの 実験条件に応じて調整する必要があるという結論を得た。

第三に、思考状態推定に用いるモデルの信頼性の評価を簡便に行なう 方法の提案と検証を行なった。その結果、提案手法の有効性が確認された。

最後に、思考状態モニタリングをオンラインで実現するシステムの実装と その使用実験を行ない、有効性を確認した。

本発表では、始めに脳波を用いた思考状態推定方法についての解説を行なう。 次に、提案手法の有効性、思考状態推定モデルのロバスト性、モデルの信頼性の 評価についての検証を、実験結果を用いて示す。 最後に、実装したオンラインシステムとその使用について示す。