没入型仮想環境を利用した対話的地形モデリング

森本 龍太郎 (9951117)


3次元CGによって表現された自然景観は, VR環境や映像コンテンツにおいて多く利用されている. このような環境で用いられる地形モデルは, 実在する形状だけでなく, 架空の形状をも表現したいという要求が高いため, 任意の地形形状を効率良くモデリングする方法が提案されてきた. しかし, 従来のモデリング環境では, 2次元操作のみで作業を行なうため, 操作の直感性, 3次元形状の視認に問題があり, 複雑な形状のモデリング作業は煩雑なものであった.

そこで, 本研究では, 2次元図による地形の方位と位置の確認の容易性と, 3次元操作と3次元立体視による操作の直感性・対話性の高さの, 双方を兼ね備えた地形モデリングの環境を提案する. 提案環境は, 傾斜型ディスプレイを表示装置として用いることで, ディスプレイ面による2次元平面と, ディスプレイ上に映し出された映像を立体視した3次元空間により構成される. 2次元平面では, ペン型のデバイスによって, 点, 線, 閉曲線が入力され, それぞれの位置関係を容易に把握することが可能である. また, 3次元空間ではペン型のデバイスに取り付けた3次元位置センサを利用することによって, 2次元平面に描かれた図形を直接3次元的に引っ張り上げる対話操作が可能となり, 直感性の高い地形モデリングが実現できる. 本論文では, 提案するモデリング環境における入力操作の詳細を示し, これに基づく実際のモデリング結果によって本研究の有効性を検証する.