複数の通信メディアを利用した階層型データ配信方式
−プロファイル管理システムの提案−

森重 孝 (9951114)


移動計算機が移動先からデータを取得する場合,一般に携帯電話やPHSなど の双方向通信メディア(オンデマンド方式)を用いることが多い.一方,新たなデータ 転送手段として地上波ディジタル放送(ブロードキャスト方式)が近い将来に実用化 される見通しになっている.そこで,配信されるデータを階層化し,複数の通信メディアを用いて効率的に転送する方式が提案された.しかしながら,この方式における同期やキャッシュシステムについての設計,評価は十分になされていない.

そこで,本発表では,複数の通信メディアで階層データを配信するにあたり,同期やキャッシングに必要な階層データなどの情報をプロファイルとして管理配信するシステムの提案を行う.クライアントアプリケーションはこのプロファイルを受け取ることにより受信する階層データに適した同期やキャッシングを行うことが出来る.

また,サーバはこれらの情報を管理することで,サーバの負荷増大などの環境の変化に対し,配信するプロファイル内容の変更で柔軟に応対することが可能となる.

プロファイルの配信方式および,複数の通信メディアでの配信を考慮した階層データの情報を効率的に記すプロファイル記述形式について議論し,複数の通信メディアを利用した配信方式に適応した階層型データのプロファイル管理システムの設計を行った.

さらに実際のLAN環境を用いて,通信部の実装を行い,データ転送の待ち時間をパラメータとした評価を行った.その結果,プロファイルの柔軟な配信が可能な提案方式は,オンデマンドによる配信方式よりスケーラビリティがあり,またブロードキャストによる配信方式にくらべ,ブロードキャストの放送周期を短く抑えることができるので,データの効率的な配信に有効であることを確認した.