TCPの拡張による信頼性のあるマルチキャスト通信の実現:M/TCP

毛上 卓也 (9951113)


現在のインターネット上のグループ間同報通信では、UDP (User Datagram Protocol) を使ったIP (Internet Protocol)マルチキャスト方式が利用されている。 UDPは信頼性のあるサービスを提供しないため、マルチキャストを必要とする アプリケーションに十分対応できていない。 そこで、本研究ではTCPを拡張したM/TCP (Multicast / Transmission Control Protocol)を提案する。 送信者始動のコネクションベースの通信を行うため、ネットワーク層には 明示型マルチキャスト(XCAST: explicit multicast)方式を利用した。 M/TCPには以下の3つの利点がある。 第一にTCPを利用するため、 既存のネットワークと親和性の高いトランスポートプロトコルを提供できる。 第二に現在のグループウェアアプリケーションにおける負荷の集中を、各送信者に 分散できる。 第三に受信側のアプリケーションプログラムを書き換える必要がないため、 現在までのソフトウェア資産をそのまま利用できる。 本研究では本提案方式をUNIXカーネルに実装することで、評価を行った。 その結果、ユニキャスト通信に比べ受信者数が増加するにつれて、 本提案方式が有効なことを確認できた。