手話アニメーションにおける修飾表現手法の研究

村上 満佳子 (9951111)


聴覚障害者と健聴者が円滑にコミュニケーションを行なえるようにするために,手話と日本語の相互翻訳を最終目標とした様々な研究がなされている.これらの研究では手話を提示する際に,手話アニメーションを用いることが多い.しかし,従来の手話アニメーションは単語の程度情報を正しく表現できていないため,聴覚障害者にとっては,例えばロボット音声のように感情のこもらない無味乾燥なものとなってしまっている.聴覚障害者にとって分かりやすい手話にするためには,より自然な表現であることが望ましい.

本研究では,手話アニメーションに音声と同じような抑揚を付け加える手法を提案する.本手法では,手話の抑揚の一つである程度修飾を,大きさ・速度・繰り返しの3種類に分類し,分類した各要素を強調することで手話アニメーションに抑揚を導入することを試みた.

本報告では,従来の逐語訳により生成された手話アニメーションと,提案手法で生成した手話アニメーションとの比較実験を行い,提案手法に基づいて作成した手話アニメーションの方がニュアンスが伝わりやすいとの評価を得た.また,これまでは明確な手話が存在しなかったために提示できなかった程度修飾語が,動作の重みを変化させることによって表現できることが明らかになった.