視覚野のニューロン集団ダイナミクスによる情報表現の研究
松本 有央 (9951103)
Sugase らはヒトとサルの顔および単純図形の 38 種類の画像をサルに呈示し,側頭葉の顔ニューロンの活動を記録した.我々はニューロン集団がどのような挙動をするかを多次元尺度法 (Multi Dimensional Scaling: MDS) と Variational Bayes 法を用いた混合正規分布で解析した.
その結果,異なった画像に対応するニューロン集団を表すベクトルは,応答の開始時 (90ms-140ms) において``顔か単純図形''などの大分類情報と相関をもつ 3 つのクラスターを形成し,それに遅れて (140ms-190ms) それぞれのクラスターは``人の個体分類''などの詳細な分類情報と相関をもつサブクラスターを形成することを発見した.
よって,ニューロン集団において,大分類と詳細な分類の情報表現に階層性があり,情報表現が時間的に変化していることが分かった.次に,この現象はニューロン集団のアトラクタへの収束過程で説明できると考え,それを再現する最も簡単なアトラクタネットワークである相関型連想記憶モデルを提案する.このモデルはニューロン集団と単一ニューロンの両方の挙動を再現できる.さらに,二つの生理実験を提案し,その結果を予測する.