統計的手法を用いた脳磁図データ解析

松野 陽一郎 (9951102)


MEG(Magnetoencephalography)は、脳内活動を無侵襲で測定することができる計測法であるが、脳内活動による磁場は極めて微弱であるために、ノイズの除去が必要不可欠となる。その際、独立成分分析(Independent Component Analysis)を用いて観測磁場を地磁気、電源ノイズ、デバイスノイズ等と脳内活動による磁場等に分解する手法が用いられている。MEGは数十から数百のセンサーによって磁場を測定するので、非常に高次元なデータとなる。そのため直接に独立成分分析を行うと、良い解が得られないことが多い。

本発表では、前処理として確率的主成分分析の枠組みによって次元縮約を行うことで、その後の独立成分分析による処理を行う手法を紹介する。次元縮約は、MDL(Minimam Description Length)基準を用いた主成分分析とVBPCA(Variational Bayes Principal Component Analysis)法を用い、シミュレーションによって性能を評価した。その際、主成分分析と独立成分分析の相違点を重点的に議論する。また、紹介手法を脳内信号を仮定した計算機シミュレーションによるデータ、模擬脳(ファントム)を用いたMEG計測データ、実際の認知課題時の脳活動を計測した脳磁図データへ適用した結果を解析する。