仮想計算機によるアドホックネットワークルーティング

松浦 克海(9951099)


近年、ノートPCなどの携帯可能な計算機の軽量化、高性能化、及び無線技術の発展に より、端末間で直接情報の交換、共有する要求が高まっている。このような場面では、 構築、撤去が簡単にできるネットワーク、アドホックネットワークが適している。アドホックネットワークは様々な環境で構築されるため、全ての状況で最適となる万能のルーティ ングプロトコルは存在せず、数多くのプロトコルが提案されている。だが、様々なルー ティングプロトコルが混在する環境では、ノードで対応されていないプロトコルのパケ ットは処理できない。 本研究は、このようなプロトコルが統一されていない環境において相互接続性を保証す る手段として、仮想計算機を使ったルーティングシステムを提案し、このシステムの実 装を行う。 本システムは、パケットのヘッダ部に経路制御を行う中間言語を埋め込み、各ノードが 持つ仮想計算機で解釈、実行することによりルーティングを行う。本システ ムにより、使用し得る全てのプロトコルのスタックをあらかじめ用意することは不要とな り、プロトコルが混在する環境でも相互接続性が保証される。本論文では異なるプロトコルの混在する環境でこのシステムを評価する。 異なる2つのプロトコル DSR及びOMUSUBIを実装し動作確認を行う。結果、提案手法による相互接続性の保証が検証された。代表的なルーティングプロトコルDSR(Dynamic Source Routing)を本システム上に、実現し提案方式の通信処理に与えるオーバーヘッドを測定するべく、直接DSRを処理するプロトコルスタックとの性能比較を行う。 結果として、提案方式は通常のDSRの処理方式に対して5%程度のオーバーヘッドが加わることが確認された。