町田 淳昇 (9951098)


センサアレイを用いた開口合成法による超音波瞬時撮像法では, 1回の送受波でプローブ前方を三次元的にイメージングすることが可能である. この手法では, 撮像領域全体に対して1度に送波できることが重要である. しかし圧電振動子により発生する超音波は指向性を持つため, プローブ前方の広い領域からの反射波を計測することが難しい.

本研究では,レーザブレイクダウン(LIB)が発生する超音波を 送波の音源として利用することを提案する. LIBはパルスレーザをレンズで集光することにより, 焦点に起こる誘電破壊である. この現象が指向性のない超音波パルスを発生することを確かめ, 超音波瞬時撮像法に適用した.

実験では,LIBによって発生する超音波を送波の音源に用いることにより, 1度の送波で広範囲からの反射波を計測できることを確かめ,広範囲でのイメージングを行った. 実験の結果,LIBを送波に利用することにより, 1度の送波で高速かつ,広範囲でのイメージングができることがわかった. また,PZT圧電素子による送波で得られる画像と比較して, 高画質のイメージングを実現することができた.

本研究の提案システムは,光学的な計測が不可能な状況下での動物体の可視化や, 超音波内視鏡への応用が考えられる.