組み込み用マイクロカーネルOS Lambdaの設計と実装

久住 憲嗣 (9951093)


近年,携帯電話の普及や情報家電の登場などにより,組み込みシステムにおいて マルチメディアデータやネットワークを扱うなど,今までの組み込みシステムで は提供していなかった機能を追加した,複雑な組み込みシステムへの要求が増加 している. 組み込みシステムが大規模化するにつれ開発工数が増加する反面,競争の激化な どにより製品を短期間に設計・開発し,市場に出すことが求められている. このため組み込みシステムの開発において,開発工数の削減が必要不可欠であり, 開発効率の向上が重要な課題となっている. 組み込みシステムの開発効率を向上させるために,組み込み用オペレーティング システム(OS)の保守性や開発効率が重要であるにもかかわらず,この点に注目し OSを実装している例は少ない.

そこで本研究では,OSの保守性や開発効率を向上させるため,マイクロカーネ ル構成を採用した組み込み用OS Lambdaを提案,設計する. また,組み込みシステムは,一度出荷したらソフトウエアを変更することがま れであることから,マイクロカーネル構成OSの利点である柔軟性を犠牲にし, OSをモノリシック化することにより,マイクロカーネル構成の欠点である性能 の悪さを改善する手法を提案する.これにより,開発中はマイクロカーネルの 開発効率の良さを利用し開発工数を削減し,出荷時にはモノリシックカーネル の性能で実行することが可能になる. この手法を用い,マイクロカーネルを設計・実装し性能測定を行った結果,本手 法が有効であることを確認できた.