フォースフィードバックデバイスに対する力覚閾の周波数特性

馬場 新悟 (9951091)


近年,ロボット手術支援など医療分野で力覚提示技術が注目されている.しかし, そのヒューマンインターフェースに関する性質は必ずしも十分には検討されてい ない.そこで本研究では,インタフェースの種類及び握り方により異なる指先の 力覚特性を調べるために,特に力覚フィードバックディスプレイ装置でペン型ジ ンバルのインタフェースを利用する場合を対象に,人間の力覚特性,すなわち,振 動刺激閾値周波数特性とその弁別閾の特性を心理物理実験によって明らかにし た.振動刺激閾値については,振動周波数1Hz〜256Hzの範囲では,30Hzと100Hz付 近の閾値が小さく,感度が優れていることがわかった.弁別閾については,振動 刺激閾値限界に近づくと周波数弁別能は劣化することがわかった.これは人の手 における力覚受容器の感度を調べた従来の生理学的知見と比べても矛盾のないも のである.さらに実際の手術を想定し,手術用手袋を着用した振動刺激閾値の周 波数特性を明らかにした.素手と比較して,高周波数域では感度の劣化が観測さ れた.手袋を着用した際の位置分解能と感度には相関関係はないことがわかった. これらの結果は,フォースフィードバックデバイスで力覚を表示する際のデータ 圧縮の基礎指標として利用できる.