自律移動型ロボットにおける話者位置推定に関する研究

中村 雅也 (9951083)


ロボットとの情報伝達手段に用いるハンズフリー音声処理系として最も有効であると考えられるのはマイクロホンアレーである。しかし、残響が多い環境では音源方位推定精度が低下してしまうことが知られている。音源方位推定法は色々な手法が提案されているが、ロボットに搭載し、実時間処理を前提として考えると、計算量の少ない白色化相互相関法が最もロボットの搭載に適当であると考えられる。しかし、その他の手法と同様に、白色化相互相関法を用いても残響が多い場合の方位推定は困難である。従って、案内ロボットにマイクロホンアレーを搭載する際には、残響に対して頑健でかつ、白色化相互相関法を元とした音源位置推定法が必要となる。

よって本研究では、円形マイクロホンアレーにおいて複数の白色化相互相関係数を同期加算することにより、高残響下での音源方位推定を可能とする手法を提案する。また、自律移動型ロボットにマイクロホンアレーを搭載し、移動させることで音源位置を推定する手法を提案する。提案法を評価するため、計算機シミュレーションを用いて、移動マイクロホンアレーによる音源位置推定精度の定量化と話者接近実験を行った。その結果、従来では不可能であった残響時間0.85秒の環境において、提案法は音源位置を正しく推定し、ロボットを話者へ接近させ得ることが示された。