没入型ディスプレイ内の利用者に追従するビデオアバタの生成と提示

中北 賢二 (9951080)


近年,バーチャルリアリティのためのディスプレイ装置として,CAVEに代表さ れるような没入型投影ディスプレイ装置が多く開発されている.

同時に, インターネットの急速な普及などにより通信回線の広帯域化が進められている. それに伴って, 没入型ディスプレイ同士をネットワークで接続し, 複数の装置 間で共有された仮想環境内において協調作業を行う試みがなされている.

一般に, 調作業を行う上で重要な仮想環境内の位置関係表現は, 自分の化身で あるアバタを用いて行われている. 中でも, 没入型ディスプレイの中で高臨場 感コミュニケーションを実現するための手法として, 利用者のビデオ映像を直 接アバタとして用いるビデオアバタが提案されている.このビデオアバタを用 いることにより, CGでは表現が困難な人の表情や感情を伝えることが可能にな り, より臨場感の高いコミュニケーションが行える. そこで, このビデオアバ タを用いて遠隔地間で協調作業を行うことが考えられるのだが, これまでに提 案されている視点移動やアバタ操作インタフェースでは, 没入型ディスプレイ 内での利用者の移動に対応したビデオアバタの移動が考慮されていないため, 利用者にとって共有された仮想環境内の正確な位置把握やビデオアバタの移動 操作が直観的でなく, 利用者間の位置関係表示が円滑に行われないなどの問題 がある.

そこで本研究では,没入型ディスプレイ内に配置された複数台の 首振りカメラを用いて, 利用者を追跡することにより位置を推定し, 推定され た位置に対応する仮想環境内にビデオアバタを配置することで, 利用者の移動 に追従したビデオアバタを生成・提示する手法を提案し, 実験によりその有効 性を検証する