Hamilton-Jacobi方程式の粘性解を用いた 宇宙ロボットの最適姿勢制御

寺田 雅一 (9951076)


宇宙ロボットは、本体とアームによって構成されており、宇宙開発のために 提案されているロボットである。

宇宙ロボットは、地上用のロボットと違って絶対座標に固定されていないために 角運動量保存則による非ホロノミック拘束をもつ。これは、物理的には 一つのアームを動かしたときに、他のアームも動くことである。 この非ホロノミック拘束をもつ系においては、 滑らかな時不変状態状態フィードバック則による漸近安定化ができないことが 知られており、不連続時不変状態フィードバック則や連続事変状態フィードバック則 などさまざまな手法が提案されてきたが、大域に漸近安定なフィードバック則は まだ提案されていない。

本研究では、宇宙ロボットに対して大域的に漸近安定化できる 最適フィードバック則を構成する。最適制御を構成するとき、値関数の微分不可能 点があるため、古典的手法ではこれを扱うことができない。そこで弱解の一つである Hanilton-Jacobi偏微分方程式の粘性解の理論を用いることで微分不可能点を扱う。 この場合、系が 可到達であるなら、系を漸近安定化できる。

本発表では、動的計画法を用いた粘性解の導出と多重線形近似による 最適制御則の構成を述べる。 また、シミュレーションによって、本手法の有効性と 最適制御された宇宙ロボットの動作を示す。