複数の全方位画像センサを用いた移動物体の存在領域推定に基づく遠隔監視システム

寺沢 征彦 (9951075)


カメラを使った遠隔監視システムにおいて, 注目物体の位置を知ることは重要な要素である. しかし従来のシステムには一般のテレビカメラが広く利用されており, 画角が狭いため環境を広範囲に動く複数の物体位置を全て求めることは困難である. そこで周囲360°の画像を一度に取得できる全方位画像センサを使用する方法が考えられる. このセンサを使うことにより環境を広範囲に監視できる. しかし三角測量により点として求めた物体の位置には誤差の影響が大きいという問題がある. またセンサ位置を結んだ直線(ベースライン)方向の位置推定は非常に不安定である. そこで本研究では, 全方位画像センサを3台使い, 注目物体の存在領域を推定する手法を提案する. 提案手法はセンサから見える物体の方位角の範囲を使うことにより, 誤差の影響を存在領域の大きさとして反映することができる. また3台のセンサから得られる冗長な情報により, ベースライン方向に存在する物体の位置も安定して推定できる. 本研究で提案した手法を用いて構築した遠隔監視システムは, 環境を自由に動く3人の人物の位置を約0.1秒の更新間隔で推定できた. また全方位画像センサの一部を平面透視投影画像に変換・提示することにより, 3視点から注目する人物の確認ができた. よって環境を広範囲に監視し実時間で注目物体の位置推定が可能な本手法は, 遠隔監視に対して有効な手段であると言える.