IPマルチキャストの文献調査と普及促進に関する考察

多喜 由城 (9951065)


インターネットやイントラネットの急速な普及により、 通信トラフィックが非常に増加している。そのため、 特にアクセス回線において、共有資源である帯域が枯渇してきている。 ここ最近、インターネット上では、文字や静止画像のみならず映像や 音楽を楽しむ機会が増えてきた。 しかしながら映像や音声を中心とするデータの 容量は非常に大きいため、 アクセス回線での限られた 帯域ではスムーズなデータの配信が困難である。 また近年、 アプリケーションによっては映像、 音声の配信を中心とする『1対多』、 『多対多』のアプリケーションが求められるようになってきた。 さらに、多くの企業もインターネット上でのリアルタイムの情報伝送の要求が強い。現在、一般に映像を配信したりするアプリケーションがユニキャスト通信をベースとした技術を使っているのがほとんどである。映像や音声などの大きなアプリケーションのデータをネットワーク上に同時に流すとき、パケットのトラフィック量をユニキャスト技術よりも低減するとともに、効率的にかつスケーラブルにネットワークを運用できるのがIPマルチキャスト技術である。

本研究ではIPマルチキャストの技術と可能性を述べる。 特に将来的なIPマルチキャスト環境におけるこれからの 社会的ビジョンの視野に立って考察する。近年進めれられている、 IPマルチキャスト技術とそれを実装して成功を収めている企業など、 ビジネスの視点からも考察する。また、IPマルチキャスト技術の実装とコンポーネントを考え、IPマルチキャストの進むべき方向性を示す。そのために、IPマルチキャストの基礎的な技術にも言及し、既存する技術と比較しながらIPマルチキャスト技術の必要性を示す。また、IPマルチキャスト技術の普及を推進する上で、技術者の目からみたこれらの言及は数多くあるが、一般のユーザからの視点に立っての言及は今までになかった。本論文ではそういった一般のユーザからの視点も織り込みながら、普及推進の言及をしている。