異なるVR環境間での共有データ形式についての研究

守随 辰也 (9951054)


近年,バーチャルリアリティ技術を用いて構築された仮想空間を遠隔地の協力 者とネットワークを介して共有し,さまざまな協調作業を行うことを目的とし たリアルタイムリアルタイムコミュニケーションの研究が行われている.文字 や音声のような媒体を用いる従来のコミュニケーション手段とは異なり,バー チャルリアリティが提供する「臨場感」ある仮想空間は,遠隔地にいる協力者 があたかも隣にいるような感覚を我々に与え,遠隔地の人同士をスムーズに結 ぶことを可能にする.

しかし,このようなコミュニケーション固有の問題として,遠隔地の人同士が 用いる計算機の能力は必然的に異なるということが挙げられる.仮想空間の描 画速度は,計算機の能力に依存され,このことが,リアルタイムコミュニケー ションであるが故の問題である,通信の媒体として用いる仮想空間が,両者に とって遅延無く同等に構築されなければならない,という条件を満たすことを 難しくする.

本発表では,複数の描画レベルを選択可能な3Dモデルを用い,共有仮想空間を 管理する計算機が,この描画レベルを協力者の環境に合わせて変更させること で,さまざまな環境の計算機に共有される共有仮想空間の整合性を保つ手法を 提案し,評価実験を行うことで,本手法の有効性を検証する.