聴覚障害者のための会議支援システム

志方 龍 (9951051)


聴覚障害者は対面した健聴者との会話の場合,読唇術によって相 手の話を読み取りながら会話をしている.しかし,複数人で話し合う会 議の場合,全ての発話者に対して同時に対面することが 出来ず,さらに,発話する人が刻々と変わるために,全ての発話者を 視覚で確認することが困難である.そのため,会議における聴覚障害者は 今注目しなければならない話題などが分からず,会議の流れについて 行くことができない.このため,聴覚障害者の会議コミュニケーション を円滑にするためには,聴覚障害者に会議内容を理解させるための支援が必要となる.

本研究は,聴覚障害者の会議内容の理解を支援するために,聴覚障 害者のための会議支援システムを提案する.提案システムは,聴覚障害 者の「視覚」としての働きをする全方位視覚センサ を用いて会議の様子を画像として取得し,話者の関係を解析し, 解析した結果に応じて音声認識により得られた会話文を聴覚障害者に 対してリアルタイムかつ適切に提示するものである. 提案システムでは,低解像度での全方位視覚センサ での色領域分布およびエッジ検出による顔画像の特徴の抽出による顔の 向き認識方法を用いた.また,顔の向き推定結果と音声認識結果 をもとに分析した会議内容の画面出力ができ,提案システムが 聴覚障害者のための会議の理解支援に有効であることを示した.