公開鍵暗号系に対するBellareらの安全性定式化から導かれる問題点について
近藤 真一郎 (9951046)
近年, 公開鍵暗号系の中でも確率暗号系といわれる暗号系が現実世界でも幅広く
取り入れられている. その理由として, 確率的ではない公開鍵暗号系は選択暗号
文攻撃に対して安全ではないこと, および, コンピュータネットワークとそ
のシステムの複雑化により, 攻撃者が復号オラクルを使用できる場合がある事があげ
られる. Bellareらは確率暗号系の頑強性と識別不可能性の安全性指
標の定式化を提案した. しかしBellareらによる頑強性の定式化は現実世界を十
分に反
映していない様に思われる. 本論文では, 平文空間を多項式的な平文空間
と指数的な平文空間に分ける事により,確率的な公開鍵暗号系における頑強性と
識別不可能性, 一方向性の定式化について論じている. さらにこの平文空間の区別を
Bellareらの頑強性と一方向性に導入し, それらの安全性指標間の関係を考察す
る. 結果として, Bellareらの安全性指標の定式化より現実に即した形の安全性
指標を実現できる事を示す.