タンパク質ダイナミクスの三次元動画可視化手法

小塚 淳 (9951043)


タンパク質の立体構造の可視化は,タンパク質の特性を理解するためや新しい薬 剤を設計するために広く使われている.モータタンパクやチャネルタンパクといっ た機能を持ったタンパク複合体の活動原理を解明するために,タンパク質のダイ ナミクスの可視化は重要であると考えられる.本研究では,タンパク質ダイナミ クスの三次元動画可視化手法を提案し,タンパク質の計測データやシミュレーショ ンデータをもとにタンパク質ダイナミクスの三次元動画を作成する.
データ量を削減しレンダリングの効率化を行うために,多重ルート木というデー タ構造を考案し,描画システムに用いた.一般的にインタラクティブ性を持った 三次元動画を作成するために,各フレームのタンパク質の構造データは原子核の 三次元デカルト座標値で与えられる.多重ルート木を用いて各フレームのデータ を初期フレームのデータの差分値として記述することにより,タンパク質のダイ ナミクスを可視化するために用いるデータ量を三次元デカルト座標値で記述した データ量のおよそ9%〜35%程度で記述することが可能となった.また,マー チングキューブズアルゴリズムを用いて作成される分子表面モデルのパッチ面を 任意面から任意の領域だけ選択的に描画することでレンダリングの効率化を行っ た.