移動体通信環境におけるセキュリティ問題を考慮したTCPコネクション継続機構の開発

黒田 浩章 (9951040)


インターネットにおける既存のプロトコル群ではノードの移動を前提としていない. クライアントホストが異なるネットワークを移動し,IP(Internet Protocol)アドレスが変更されると 通信は切断される.更に,再びサーバーと通信開始しても以前のコネクション状態は継続しておらず,アプリケーションによって明示的に再設定を行う必要がある. また,現在までに提案されている移動プロトコル,MoblieIP及びVIP(Virtual IP)等では,処理の複 雑さとネットワークアーキテクチャ自体の変更,及び管理にかかるコストから導入が困難である.

本研究では,TCP(Transmission Control Protocol) のコネクション管理に着目し,新たにTCPコネクション継続機構を開発 し、低コストで移動性(Mobility)を実現することを目的とする. 更にセキュリティの問題を考慮し,安全性の高い通信の継続を実現する.

この目的のため,エンドホストのみを改良し, 現行のネットワークアーキテクチャを変更することなくホストの移動性を実現す る.これにより導入コスト,運用コストが非常に低いという特徴を持つ. また,TCPのみを改良するため,それぞれのアプリケーションを変更する 必要がない. 次に,提案するTCPコネクション継続機構をUNIXカーネルに実装する. 実装に基づく評価を行ない,本方式の移動性及び安全性について考慮する.